本研究は, 国立大学の教育学部音楽教育専攻生および音楽を副専攻とする学生の計26名(平成29・30年度累計) を対象に行った聴音の実践研究である。筆者が受け持つソルフェージュの授業では, 聴音を初めて行う学生と一定程度の経験を有す学生とが混在している。このような学習歴の格差は, 入学試験に聴音が課されていないことによって生じていると考えられる。教育学部の音楽教育専攻において, 入試に聴音が無いことは, 全国的に見ても珍しいことではない。しかし, 格差のある学修集団への聴音に関する授業研究はほとんど行われていない。本研究では, 特に学習経験のない学生に対する指導法研究に主眼をおき, 授業実践をもとに考察を行う。