本研究の目的は, 業務量調査をとおし, 保健福祉施設の各専門職種の提供するケアの実態を明らかにし, 各専門職の連携の糸口を探ると共に, 看護職がどのように専門性を発揮する必要があるかを探求することにある。研究対象は, 研究の協力が得られた山口県H特別養護老人ホーム, K老人保健施設, 北九州市A身体障害者療護施設の, 保健・医療・福祉の専門職である看護職, 介護職, 福祉職であった。研究方法は, 標準ケアプログラムに基づき, 各専門職者が施設利用者に提供しているケア内容を各専門職に調査員を配置し, 勤務時間帯の行動を共にし,利用者に提供したケア内容を秒単位で, 各施設24時間の観察記録を行った。統計解析は,SPSS10.0 for windowsを用い, 一元配置分散分析(ANOVA) を行い有意水準5%とした。研究結果は, 全対象者のケア時間において施設, 職種, 業務, 勤務帯, ケア項目で各変数を比較すると, すべての変数で統計学的に有意差がみられた。職種別のケア内容では, ケア項目, 業務, 勤務帯, 施設別に各変数を比較すると, ほとんどの変数で統計学的に有意差がみられ, すべての専門職種で間接業務, 直接ケア, 間接ケアの順にケアを提供していた。本研究で得られた結果は, 各専門職と連携しながら看護職が果たす役割について示唆を与えるものである。