Memoirs of the Faculty of Education. Literature and Social science

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Memoirs of the Faculty of Education. Literature and Social science 17
1983-12-25 発行

ライフ・サイクルにおける女子賃金(II)

The Female's Wages in the Life Cycle(II)
Yamamoto, Shinichi
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 今日の日本における発達した資本主義段階にあって,生産面における社会的分業は全国的な規模で細分化されている。消費生活も又各世帯がそれぞれ個別的に独立して遂行される側面は急速に弱まりつつある。つまり消費生活過程が商品対象化に組み込まれることを中心とした社会化として位置づけられ,その度合いが深まりつつある。
 このように生活の両局面(賃労働過程と消費生活過程)が社会化されていく中で,経済的生活保障の中心的な社会制度として社会保障制度があることは周知の所である。この社会保障制度を構成している老後保障としての公的年金,稼働時の事故に対しての労災保険,又失業に対する雇用保険,そして健康保険等は広義の賃金としてとらえられる。
 そこで広義の賃金を構成する一方の現役労働者として稼働している時の賃金,いわゆる狭義の賃金水準が女子のライフサイクルでどのような状態であるかは前報で論じたので,ここでは次に広義の賃金としての所得保障としての社会保障が女子のライフ・サイクルの中でどのようにかかわり,問題点を含んでいるか以下検討してみたい。