本研究では,図画工作科の最終目標は「本当に豊かな情操を養うことか」という見解にたち,図画工作科だからこそ「育てるべき力は何か」を探った。特に,「形」や「色」といった造形要素を扱うことが教科固有の特性であることから見つめ直し,表現・鑑賞どちらの活動に取り組む上でも土台となる「形や色をとらえ,イメージを持つ能力」を育てることに着目した。この力をもとに,子ともたちが表現活動で抱える問題である「発想したことが表現できない」ことに対応する授業の方略「トライアル」を開発した。授業の導入時に,表現技法や方法を知る・試す・考える「トライアル」の有効性が授業実践より明らかになってきている。