「ソナタ・アルバム」に関する一考察

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ファイル情報(添付)
b002001700k007.pdf 1.31 MB エンバーゴ : 2001-10-08
タイトル
「ソナタ・アルバム」に関する一考察
タイトル
Eine Betrachtung uber Sonaten-Album
タイトル 読み
ソナタ アルバム ニ カンスル イチ コウサツ
著者
収録物名
島根大学教育学部紀要. 人文・社会科学
Memoirs of the Faculty of Education. Literature and Social science
17
開始ページ 65
終了ページ 74
収録物識別子
ISSN 02872501
内容記述
その他
 『ソナタ・アルバム』は, Adolf Ruthardt, Louis Kohler の編集・校訂によって,ペータース社から出版されたピアノ曲集である。わが国においても,それと同一内容の楽譜が出版されており,長い間古典ソナタの入門用として広く親しまれてきた。この曲集には,J.Haydn, W.A.Mozart, およびL. v. Beethoven のソナタから26曲の作品が選び集められている。それらの作品は,一般に『ソナチネ・アルバム』終了程度の学習者のための,ソナタ形式の理解と基礎的技術(音楽的理解を伴う)の修得を目的とした教材として重要な位置を占めている。
 このように,『ソナタ・アルバム』は,ピアノ教育における基本的な教材であるにもかかわらず,一方においては,次のような問題点も認められる。すなわち,ぺ一タース版は,初版以来現在に至るまで改訂されていないために,近年出版された原典版との間に,記譜上の大きな隔たりが生じていることである。周知の通り,原典版は,綿密な資料準備とその批判を基礎として,作曲家の創作上の意図を最大限に再現しようとするものである。したがって,原典版を用いるのが良いことは言うまでもない。しかし,作品の時代様式や記譜上の慣習等の知識が要求されるために,初級学習者にとっては十分に使いこなせないという問題が生じる。そこで,ペータース版の選曲を尊重しながらも,実用性と原典版の重要性を考慮した2種類の『ソナタ・アルバム』が,最近相次いで出版された。それらは,わが国のK社とS社の『ソナタ・アルバム』である。
 本稿においては,ペータース版に依拠している楽譜が一般に通用していることから,ペータース版の楽譜上の問題点を指摘し,さらに,新しく出版されたK版とS版におけるそれらの取り扱いについて検討した。ただし,全作品について考察するのではなく,第1巻に収められている Haydn の作品5曲に焦点を絞った。それは次のような理由による。
 1)K版の第2巻が未出版であること。
 2)第1巻の学習は,第2巻に比べて早い時期に行われる。この初期学習において,より信頼できる楽譜を用いる習憤が学習者に要求されること。
 3)一般に,Mozart や Beethoven に比べて,Haydn のソナタに対する認識が浅いこと。
 なお,これら5曲の自筆譜は現存していない。本稿では,2社の原典版,G.Henle 社 : Haydn, Samtliche Klaviersonaten と Universal Edition(国内では音楽之友社): Wiener Urtext Edition ; Haydn, Samtliche Klaviersonaten を参照しながら検討を進めた。
言語
日本語
資源タイプ 紀要論文
出版者
島根大学教育学部
The Faculty of Education Shimane University
発行日 1983-12-25
アクセス権 オープンアクセス
関連情報
[NCID] AN00107952