歴史物語における不即位東宮 : 「先坊(前坊)」再考

島根大学教育学部紀要 Volume 49 Page 114-126 published_at 2015-12-22
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Title
歴史物語における不即位東宮 : 「先坊(前坊)」再考
Title
Crown Prince who Cannot Accede to the Throne : A Study of the“Sen-Bou”in“Rekishi-monogatari”
Title Transcription
レキシ モノガタリ ニ オケル フソクイ トウグウ : センボウ ゼンボウ サイコウ
Creator
Source Title
島根大学教育学部紀要
Volume 49
Start Page 114
End Page 126
Journal Identifire
ISSN 18808581
Descriptions
東宮保明親王早世の悲劇は、皇統の行く末を揺るがし、『後撰集』や『大和物語』の素材となって流布し、夭折した東宮を意味する「先坊(前坊)」は保明の別称として定着していった。その流れを承けて『源氏物語』の六条御息所の物語や『大鏡』の先坊と大后の物語が形成されたのである。『源氏』『大鏡』両作の影響は後世に広く及び、先坊像を発展させ、『今鏡』の先坊を生み出し、中世新時代に至るまで途絶することはなかった。十三世紀初頭には先坊は明確な形象を獲得し、『浅茅が露』『いはでしのぶ』などの中世王朝物語の世界で安定した存在感をもって多出するようになったと思われる。同時に、歴史物語の系統では皇位継承史の要諦として枢要な役割を果たし続ける。『大鏡』では先坊の母后として「大后」穏子が皇位継承を主導し、『今鏡』では立坊していない敦文親王が先坊として機能し、『六代勝事記』でも仲恭帝が先坊の扱いを受けて皇統変更を象徴する。これらの伝流を継受して、『増鏡』の先坊邦良親王が造型されたのである。和歌文学、歌物語、作り物語、歴史物語で醸成された先坊が『増鏡』の邦良親王像に結実したとも言える。
Subjects
先坊 ( Other)
前坊 ( Other)
歴史物語 ( Other)
大鏡 ( Other)
今鏡 ( Other)
増鏡 ( Other)
六代勝事記 ( Other)
物語 ( Other)
中世王朝物語 ( Other)
Language
jpn
Resource Type departmental bulletin paper
Publisher
島根大学教育学部
Date of Issued 2015-12-22
Publish Type Version of Record
Access Rights open access
Relation
[NCID] AA12171265