美術教育学の制度的基盤の成立過程 : 山口大学における人的制度と配置

Abstract

　山口大学における美術教育学の制度的基盤の成立過程（人的制度の成立と人的配置）を次のように明らかにした。１.山口師範学校から山口大学教育学部への移行：図画工作担当教官はほぼ大学に移行したが，美術科教育を専門とする教官はいなかった。当然ながら，制度的に美術科教育の専門性は保証されておらず，｢美術教育学｣も認識されていなかった。２. 学科目の設置と具体的人員の配置：昭和45年より美術科教育の学科目に人員が置かれ実質化し，制度的に美術科教育の専門性が保証された。３. 教科教育専攻大学院の設置と展開：美術科教育を専門とする二教官が揃い，平成３年４月に教科教育大学院が設置された。これにより，山口大学における美術教育学の制度的基盤が成立した。