過疎の動学的分析 : 試論的一計測

島根大学農学部研究報告 Volume 24 Page 110-117 published_at 1990-12-21
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File
d0030024n014.pdf 1.51 MB エンバーゴ : 2001-10-08
Title
過疎の動学的分析 : 試論的一計測
Title
Dynamic Analysis of Depopulation : A Trial Measurement
Title Transcription
カソ ノ ドウガクテキ ブンセキ シロンテキ イチケイソク
Creator
Source Title
島根大学農学部研究報告
Bulletin of the Faculty of Agriculture, Shimane University
Volume 24
Start Page 110
End Page 117
Journal Identifire
ISSN 0370940X
Descriptions
Abstract
 「過疎」とは,一般に「”中味”が“容れもの”に対して疎に過ぎる」ことを指し,「過密」に一対置される概念である.
 「過疎」の杜会・経済的概念規定は,従来様々な論者によってなされてきた.本稿は,それらについての紹介や論評を加えることを目的としないが,一例を挙げれぱ,1966年に提出された経済審議会地域部会中間報告における以下の理解が,最大公約数的見解を示しているよ
うに思われる.即ち,「人口減少地帯における問題を,”過密問題”に対する意味で“過疎問題”と呼び,過疎を人口減少のため一定の生活水準を維持することが困難になった状態,たとえぱ防災,教育,保健などの地域杜会の基礎的条件の維持が困難になり,それとともに資源の合理的利用が困難になって地域の生産機能が著しく低下すること」という理解である.
 筆者の理解もこれに準じているが,動学的側面を強調する点において異なる.即ち,特定地域の杜会・経済活動はそこに存在する人口を1つの与件としつつ一種の均衡が成立しており,人口減少という与件変動は,それに対応した新しい均衡点への移動の誘因を持つと想定する.そして,この調整がスムーズになされる隈りにおいて問題はない.問題は,資産の不可分割性及び移動・変形可能性の欠如,或いは人口移動に伴う心理的・物理的な諸々のコストの存在等により,調整がスムーズになされないこと,即ち,不均衡過程が長期にわたり持続することに「過疎」問題の本質があると筆者は考える.
 本稿の課題は,上記の過疎の動学的過程を定量的に明らかにするために,Nerlove流の調整過程を組み込んだモデルを提示し,若干の試論的計測を行なうことにある.なお,分析のためのサンプルは,「過疎地域振興特別措置法」(1980年制定)による離島を除く島根県過疎市町村であり,分析期問は1960年から1980年である.
Language
jpn
Resource Type departmental bulletin paper
Publisher
島根大学農学部
Shimane University, Faculty of Agriculture
Date of Issued 1990-12-21
Access Rights open access
Relation
[NCID] AN00108015