島根大学論集. 自然科学

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島根大学論集. 自然科学 1
1951-03-31 発行

抽出法を用いる分析化学的研究(I) : 粘土より鉄を含まぬ純アルミニウムを得る研究(第一報)

The Chemical Analytical Study using Extraction Method (1st Report)
山本 作次郎
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内容記述(抄録等)
Rotheはすでに1892年に鉄材の分析に当ってFeの分離法として塩化第二鉄の塩酸酸性溶液より塩酸酸性エーテルを以て,Feを抽出分離する方法を発表している。その後,Langmuirはニッケル鉱の分析に鉄の除去法として同じくエーテルを用い,KernはUとFeの分離,SpellerはCu-NiマットからFe除去に法の方法を用いた。又Noyes等は定量分析に応用し,Swift及び和田氏等は鉄を含まぬGaCl_3溶液からGaの抽出に利用した。此等の研究に於てFeの抽出に必要な條件を要約すれば
  (1)鉄は塩化第二鉄の塩酸溶液に於て約0.01g/c.c.Fe前後の濃度のもの。
  (2)塩化第二鉄は20−22%(比重1.100-1.011,即ち約6−N)塩酸酸性にしたもの。
  (3)エーテルは同様の塩酸で数回共振したものを用いる。
叉Casterに依ればアルミニウムはエーテルにて全く抽出されない事が知られている。本研究に於ては鉄がアルミニウムと共存する時,此のエーテルに依る抽出法を用いて完全に鉄を分離除去し得るやを検討し,可能なれば粘土より純アルミニウムの製出に適用せんとするものである。
 ために,先づ從来のエーテルに依る抽出法を追跡してみた結果更に嚴密叉は改良すぺき点のある事を知った。
 尚Fe^<+++>の定量に沃度法は不正確な値を与へるものとして用いられないが,之に就いても,予め重量分析と比較研究を行い,別報”Fe^<+++>定量に対する重量法と沃度法との此較”(第2報)の如く処理する事により,比較的便法であり且つ正確な結果を輿へる事を知ったので,以下の実験には此の沃度法を用いて良好な値を得た。