塩化第二鉄水溶液より塩酸性エーテルにて鉄を抽出し,水溶層及びエーテル層に分配された鉄を定量するに当たり,可及的簡単で而も信頼できる容量分析法を用い度いとの希望から,現在まで不正確として顧みられない沃度法を再検討してみた。
即ち塩化第二鉄の徴酸性溶液に沃度加里を加へて遊離した沃度を規定チオ硫酸ソーダ溶液で滴定するのであるが,此の時終止点の指示薬として澱粉糊液を加へて青色となし,滴定によって,その丁度無色となってから,一分間青色をを再現せねばよいとされて居る。又一応終止点に達した後も空気酸化により再び青色を取り戻し,更に滴定をすれぱ結局過剰のチオ硫酸ソーダを消費して誤差を大ならしめ,叉沃度の揮散や光の影響があるとされている。