本研究の目的は、多職種がそれぞれどのような視点で転倒リスクを捉え、多職種連携
による転倒防止についてどのような考え方を持っているのかを明らかにすることである。研究協
力者は、A県内の入所及び通所サービスを提供する介護老人保健施設Bに勤務し、入所サービス
提供に携わっており、転倒リスクの判断力を備えていると想定される看護師3名、理学療法士3
名、介護士3名とした。構成的インタビューを行い、内容分析法を用いてインタビューの結果を
意味の類似性により分類した。その結果、看護師と介護士は対象者の生活や認知面を重視し、理
学療法士は対象者の機能・能力面を重視することが明らかになった。多職種が連携しやすい環境
の基盤は、各職種の専門性の理解をしていること、物理的距離が近いこと、一緒にケアをする機
会があること、平等な関係だと自覚していること、日頃から相談しやすい人間関係が築かれてい
ることであると示唆された。