小学校でごく普通に使われている水彩絵具について,画用紙に塗った色の反射スペクトルと水溶液の吸収スペクトルとを測定した。両者を比較することにより物体色が,太陽あるいは電灯からの白色光を拡散反射した色であること,したがってその物質が吸収する色の補色であることを具体的に理解させることを試みた。しかし,実際に得られた両スペクトルの補色関係は必ずしも明瞭ではない。その原因は水彩絵具の顔料のサイズが可視光線の波長に近いことにあると考えられるが,実際それが数ミクロンのオーダーであることを電子顕微鏡を用いて確認した。