本稿では言語教育専攻における専攻共通科目「日本語表現論」(1年次後期開講) を担当する中で見えてきた成果と課題、今後の改善の方向性について述べた。各授業時に行っているアンケートの記述から、本授業が授業目的を達成し、身近な日本語に潜む文法への気づき、および日本語を注意深く観察しようとする意欲を喚起することに一定程度効果があることが窺える。しかしここ3年にわたって課したレポート課題の内容からごく一部の学生にレポート作成のための言語能力不足、書式、分量、内容に関してこちらが指定した内容に従うことが出来ない、課題内容に関する理解が不十分である、などの問題点が見られた。このことを受けて行った「日本語学概説」(2年次前期開講) における学生に対するレポート作成指導の取り組みと成果を踏まえ、今後の「日本語表現論」授業改善の方向性として、レポート課題の提出締切の前倒し、授業期間内でレポート内容に関する指導を行うことなどを示した。