最近,「教科」という領域を無くした「総合学習」が注目されているが,中でも,最も重要視されているものの一つに環境教育がある。
環境問題に多くの関心が寄せられるようになったのはここ数年が始めてではなく,1960年代に激化し始めた地域公害が地球規模の問題へと広がることを懸念して,1972年に国連人間環境会議が開催されている。しかしながら,環境破壊の進行速度が当時の予想をはるかに上回ったため歯止めが急務とされたわけである。
一方,情報機器の発展も急激な速度で進行しており,中学校では技術の先生を中心として,情報教育の教育方法や教育内容を確立すべく試行錯誤カ手探り状態で繰り返されている。筆者達もこの数年間,パソコン嫌いの生徒を作らぬよう,生徒の興味をひきおこす教材ソフトについて考えてきたが,ガソリン機関のシミュレーションソフトを作成してその効果を試していた際,「知識の定着」という面だけを考えれば,教師側が作成したソフトを一方的に見せるよりも生徒にそのシミュレーションソフトを作成させた方がより効果的,と思うに至った。知識が定着していなけれぱソフトの作成は不可能だからである。
しかしながら,生徒にCAIソフトを作成させることに関しては間題点が無いわけではない。教師側から見れば作成時間の捻出が最大の課題であろうし,生徒側から見れば描画能力が最大のネックとなっていると思われる。
本報告は,以上をふまえて環境教育と情報教育の総合学習実験授業を行い,生徒にとって最大のネックであるグラフィックを教師側で用意した上で「環境問題に関するマルチメディア教材」を作成させた場合,中学生がコンピュータグラフィックに対して持つ意識を調査するとともに,中学生の環境問題に対する意識調査をも併せて行ったものである。