剣道の打撃動作に関する研究は,中野,中野・坪井,坪井,百鬼ら,中針らの打撃動作の分析等数多く行なわれている。しかし,これらは,ほとんどが面,小手及び胴打撃に関するものであり,もう一つの打突部位である「突き」の動作に関する研究は,今井らの突の圧力に関する研究以外みられない。
「突き」は中学生以下では禁止されているように,ややもすると危険な技になりかねない。また,試合における決まり技をみても,出現頻度は極めて低く,非常に難しい技とされている。しかし,逆にこの技を十分に習得して常に試合及び稽古場面で用いることができれば,攻撃の幅がより広がるものと考えられる。
そこで本研究では,「諸手突き」と「片手突き」について,動作解析コンピュータシステムにより動作分析を行ない,同時に動作中の筋電図を記録し,熟練者と未熟練者の熟練度による相違を検討することにより,「突き」動作を理解することを目的とした。