島根大学教育学部紀要. 教育科学

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島根大学教育学部紀要. 教育科学 21
1987-12-25 発行

技術科教育における学習意欲に関する研究(I) : 図学学習における達成動機づけと図学の問題解決のパフォーマンスの関係について

A Study on Achievement Motivation in Technological Education(I) : On the Relationship between Achievemant Motivation and Problem Solving Performance in Descriptive Geometry Learning
大國 博昭
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内容記述(抄録等)
 図学は,理工系大学・学部の教養課程あるいは教員養成系大学・学部及び工業高専などにおいて,基礎教育科目もしくは専門科目として広く開講されている。
 また,図学は図法幾何学の略称であって,主として,三次元の空間図形(立体図形)を,幾何学の諸定理を理論的根拠として,それを二次元の平面上にいかに適切に図表示するか,という客観的方法や,その図形の幾何学的性質を考究する学問といえる。
 従って,例えば工業高専の第1学年の学生が,図学について学習する場合に,学習者はほとんど初心者であるといえる。また,図学に関する既習の幾何学的知識や学習者の知識・理解の能力も決して十分なものとはいえず,「図学は難解で,親しみにくい」学問である,という意識をもつ者もなくはないだろうし,特に,立体図学に対するそうした意識は強いことが予想される。
 このようなことから,図学教育の状況及び学習者の認知的能力や技能,情意的傾向などの実態をも十分に考慮した上で,初心者の図学指導に当たっての学習上の課題を解決すべく,指導上の基本的な目標を明確にしておく必要があろう。
 その一つの方向づけとして,大國・福島(1985)は,高専と技術科教員養成機関を中心に,図学教育の現状と指導の実際を明らかにしていくなかで,図学指導の一つの方法として「投影図形認知のためのコンピュータの利用法」について発表した。
 また,大國(1987)は,図学の教授・学習における認知的側面と情意的な面の両面からの研究を進めるために,被験者を高専生にとり,図学を初めて学ぼうとするときに,図学を第一角法によって教授・学習した場合と,第三角法によって教授・学習した場合とで,この「角法のちがい」による指導法が,学習者の理解の難易度にどのように影響を与えるのか,また,そのことが知識としての定着度とどのように関係し,又,学習者には難易度がどのように認知されるかなど,指導方法の差異と課題解決の客観的及び主観的困難度との関係についても研究し,報告してきた。
 本稿では,授業の主体である学習者が,初めて経験した図学学習に対して,どのような意欲を持ち得ているのか,高専生の図学学習における学習意欲(達成動機づけ)について,その中の「達成動機」を取り扱うことにする。