現在の高等学校において,生徒たちは人間関係上で,うまく自己を表現することができないという問題を抱えている。本研究では,この「問題」の原因を「自己」抑圧,「他者」恐怖と,自分への「自信のなさ」との相互関係として捉え,それらを解決する方法として,国語の授業で「虚構体験」を行うことを提案した。
「虚構体験」を設定するにあたっては,生徒たちが,日常の自分とは異なるものとして振る舞うことによる「自己解放」や,自分の新しい一面を見つける「自己創造」を体験し,ひとまずは「虚構」の場における「自己表現」ができるようになることをねらいとした。
「現実」の日常生活において,うまく自己を表現できるようになるための年間授業計画を「3つの学習段階」とし,中心となる第2段階に「虚構体験」を置いた。その前後には準備段階と完成段階とを置き,「虚構体験」への導入と日常生活への接続とを行っていく計画を立てた。