本研究は、国語教科書の詩の比較文化的研究である。これまで、韓国の国語教科書の詩について比較文化的研究を行ってきた。1)
本稿は、中華人民共和国(中国) の国語教科書の詩についての研究である。中国では、2000年に第8次基礎教育の課程改革を行った。改革の要点は「教学大綱」と教科書の見直しであった。「教学大綱」では「古詩文背誦篇目」をとくに重視した。
古詩文は唐・宋時代の詩であり、「背誦」とは暗誦・朗誦のことである。本稿は、小学校国語教科書における「古詩文背誦篇目」の実態を把握し、教材の紹介と分析・考察を目的としている。日中比較文化の観点から、中国の詩教材の特徴を解明していきたい。本研究は、郭丹(島根大学大学院教育学研究科修士課程修了) との共同研究である。詩の翻訳は郭が担当し、鑑賞文を足立が補った。そして分析・考察は足立・郭の共同研究として行った。最後に、日本の教科書との比較において、中国の詩教材の特徴をまとめた。