岡山県真庭郡一帯は,近年国産材製材産地,素材および製品の流通基地として急速に発展してきた.そして,その真庭産地の中心的位置を占めるのが,勝山,久世の2町とりわけ勝山町である.
真庭産地の製材業は,1960年代まではともかく,本格的展開をみる1970年代以降については,地元の素材よりはるかに多くの他地域産原木を使用しながら展開してきた.しかし,この地域においても戦後の拡大造林は盛んに行われており,戦中,戦後の濫伐跡地への再造林地も加えて,10~15年後からはかなりの面積の森林が伐採可能となる.そうした予測を背景にして,この地域の森林施業の内実をどのように評価しうるのかという点について,検討しておく必要があるだろう.なぜなら,真庭産地の木材消費規模が将来も大きく変化しないとすれは,地域内原木のみで地元需要の大部分をまかなうことができる計算になり,将来,真庭地域の製材工場が,地元産原木を使用しつつ展開することが可能ならば,地域として強固な林業地(育林生産から加工・流通・製品販売までをも含む)が完成することになるからである.そして真庭地域の製材業にとっても利用可能な良質の原木が地元に存在するということは,大いなる強みとなるであろう.
本小論においては,主として真庭産地の中心地,勝山町における森林施業の展開と現状および近年の到達レベルについて考察する.