島根大学農学部研究報告

ダウンロード数 : ?
島根大学農学部研究報告 2
1968-12-15 発行

上層農家の発展類型 : 中国地方の場合

Several Types of Development on the "Large Scale Farms"
渡部 晴基
ファイル
内容記述(抄録等)
 昭和40年に農林省が実施した「大規模農家調査」によると,中国地方における上層農家数は全農家の約1%にあたる5,900戸である.中国地方の上層農家の構成割合は都府県の2%よりもやや低い.
 しかし,中国地方における上層農家の分布は,部分的に稀薄,濃密地域がはっきりと分断形成されており,地域的にかなりの特徴がみられる.とくに,濃密分布地域では,上層農家の基幹作目を中心に主産地化が進展し,上層農家が農業生産において高い地位を占めている.
 したがって,本稿での主たるねらいは,現在の上層農家が以前にどのような農民階層に属しており,どのような経営の条件下で発展してきたのかという点と,上層農
家群によって,どのような規模の主産地域が形成されているのかといった点を中心に部門別(作目別)の発展類型を明らかにすることである.
 さらに,部門別の発展類型を明らかにするなかから,上層農家が一段と上向発展するために必要と思われる若干の問題点を指摘することである。
 実際の分析にあたっての各部門は上層農家がもっとも集中的に展開している経済地帯の上層農家群を代表に選んだ.分析に用いた資料は「大規模農家調査」における①農地改革前の農地所有状況,②基幹部門が経営の中心となった年次,⑧経営主の性格,④労働カの実態,⑤経営資金の導入状況の各項目を中心に,部門別,経済地帯別に再集計して全面的に利用した.