島根大学農学部研究報告

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島根大学農学部研究報告 2
1968-12-15 発行

野菜の市場と小売価格(II) : 松江市の事例

Studies on Marketing and Retail Price of the Vegetables(II)
猪股 趣
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内容記述(抄録等)
筆者は,前年度に中央卸売市場の設置されている名古屋市で野菜の小売価格調査を実施したが,ひき続き今年は松江市で同様の調査を試みた.
 青果物の流通問題が議論の対象となってから,昭和38年7月に「生鮮食料品流通改善対策」が閣議決定されて以来でも,すでに満5ケ年を経過した。その間,多くは中央卸売市場に問題の焦点があてられ,地方市場に関しての議論は比較的等閑に付されていたきらいがある.昭和41年の野菜の中央卸売市場入荷量は総入荷量の42%に達しているが,全国各地の中小都市で卸売業務を営む地方市場の取扱高も無視しえない数量にのぼっている.しかも地方市場の数は中央卸売市場よりもはるかにその数が多く,物価問題の上からも,大都市市場同様に地方都市における青果物流通問題は検討すべき課題を残している。
 本稿では,中央卸売市場の設置基準である人口15万人に達していない松江市(1人口11万人余,したがって地方市場)の市場構造を紹介し,あわせて野菜小売価格調査の一部を集計し,地方市場における野菜流通の実情について,中間報告を行ないたい。