高齢化によって増え続ける医療需要に対して、従来の病院の医療職を中心とした仕組みではニーズを満たすことができず、地域で包括的支援・サービス提供をできる体制が強く求められている。その一方で、IT=情報通信技術の利用は多職種の連携において重要な鍵であると思われる。しかしながら、医療・介護分野におけるIT 活用の先行研究は政策課題に偏っており、IT の活用実態に関する独自の情報収集・データ作成に基づく文献は少ない。そこで、本研究では、特に高齢化が進んでいる地域として出雲市と尾道市を取り上げてアンケート調査を行った。両市はともに多職種連携のIT化に対しても前向きに取り組んでいるが、その取り組み方に大きな違いがある。その違いは、調査結果から明らかとなった。また、各モデル地域における介護施設で実施したアンケート調査の分析を行うことによって、介護施設の立場からITを活用した多職連携の実態を明らかにする。さらに、実態調査の結果に基づいて、医療・介護の情報連携を推進できる取組を検討する。