本稿ではドイツにおける農地の賃貸借の一方の当事者である農地の貸し手が,一体どのような人々なのであるのかを,現地での調査結果を基に報告する。調査件数は17件である。
調査の方法は以下のようである。
まず,調査対象地域はドイツ南部バイエルン州の州都ミュンヘン北方地域(調査件数11世帯)[地主の住所を管轄する州政府出先の農業事務所名としては以下の通り。インゴルシュタット,プファッフェンホーフェン・シュローベンハウゼン,エルディング・モースブルク,レーゲンスブルクの4つである。]ならびにドイツ北部二一ダーザクセン州ゲッチンゲン市近郊(調査件数7世帯)の2つの地域である。
次に調査世帯の抽出方法はバイエルン州においては農家調査を行った際に農家から紹介してもらったものである。ゲッチンゲン市近郊についてはドイツの農民組織「ドイツ農民連盟」の地元における組織「ラントフォルク・ゲッチンゲン」からの斡旋である。
調査期間はバイエルン州が2002年1月から2月にかけて,ゲッチンゲン市近郊が2月中旬である。実際の調査は土地所有者の自宅にアンケートを持参して出向き,面接調査方式をとった。