2017年に文部科学省から告示された新学習指導要領では, 全ての教科において一人一人の教育的ニーズに応じた,指導や支援を行う必要性や, 生徒が学習方法を選択して課題解決に取り組むという学びの過程の重要性が明示されている。
島根大学は2018年度に文部科学省の委託を受け, 学びのユニバーサルデザイン(Universal Design for Learning, UDL) の考えを取り入れながら教科指導法の実践研究を行った。この実践研究において, 学習指導案の枠組みとして「shimafuシート」を開発した。本実践研究では, 「shimafuシート」を活用した授業づくりの在り方について検討し,中学校英語科の授業づくりに活用して, 「shimafuシート」が生徒の困難さ・つまずき, 学びの多様性に応じ, 全ての生徒が目標に到達できる授業づくりのためにどのように有効か, 授業実践事例をもとに考察した。
本実践研究では, 生徒の学びの多様性に応じる授業づくりの在り方について, UDLの考えを取り入れながら, 「shimafuシート」を活用した授業実践事例をもとに提案する。「shimafuシート」の活用は, 生徒の困難さやつまずきに応じるだけでなく, 願いや学習方略の好みにも応じていくことができることを考察できた。また, 授業づくりの過程で,生徒の姿や教師の意識の変容も見られた。