今日バフルがはじけ、戦後最大の不況と呼ばれる中で、完全失業率は3%(女性は6%)を越えた。この不況の中で企業はリストラを断行し、「合理化」を強めている。このリストラの中身は、発展途上国を中心とした生産拠点の海外移転、中高年労働者に対する出向(片道出向を含む)、配転、希望退職の強要、就業形態の変更、24時間操業、そして終身雇用制度の見直しと、パート雇用化の促進等として展開されている。
このような雇用形態の変化の中で、労働者家族の家庭経営は家族全体の、そして個々の家族員の役割構造及び役割機能が大きく変化せざるを得なくなってきている。その変化が家庭経営の目的である労働力の再生産、生活の再生産にどの様な影響を及ぼしつつあるのかを検討し、健全な家庭経営を今後進めて行くための課題を社会システムとしての雇用形態のあり方との関連で検討するのが本稿の目的である。