高齢化が急激に進んでいる我が国では,家族の生活において,高齢者問題はさけて通ることのできないものであり,その解決には家庭科の関わるところが大である。
ところで,今日の高齢化は,平均寿命の伸長によるものだけでなく,出生率の低下を大きな要因として進行してきている。その背景には,核家族化や家族の小規模化等の家族の構造的変化がある。
このような状況の中で,人間が人間らしく育ち,自己や他者を理解するには人間同士の関わり合いが重要であるにも関わらず,子ども達の高齢者との接触や交流機会は減少してきている。したがって,学校教育や社会教育の中で高齢者との交流の場を設けたり,高齢化や高齢社会について取り上げることは大きな意義を持つものである。
しかし,高齢者に関する学習は体系化されておらず,模索の段階にある。そこで,中学校家庭科の家庭生活領域の家族の生活の中に,高齢者と家族・地域社会という小単元を設け,高齢者や高齢者を取りまく問題を正しく理解し,家族や自分の生活について考えさせるため,高齢者と交流を図り,高齢者問題を考える内容を設定した。教材開発および学習方法を併せて検討するため,授業研究を行ったので報告する。