伝統文化の真正性と歴史認識 : ヴァヌアツ・アネイチュム島におけるネテグと土地をめぐって

文化人類学 Volume 70 Issue 1 Page 47-76 published_at 2005-06-30
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Title
伝統文化の真正性と歴史認識 : ヴァヌアツ・アネイチュム島におけるネテグと土地をめぐって
Title
The Authenticity of Traditional Culture and Recognition of History : Netec and Land in Aneityum, Southern Vanuatu
Title Transcription
デントウ ブンカ ノ シンセイセイ ト レキシ ニンシキ : ヴァヌアツ・アネイチュムトウ ニ オケル ネテグ ト トチ オ メグッテ
Creator
Source Title
文化人類学
Volume 70
Issue 1
Start Page 47
End Page 76
Journal Identifire
ISSN 13490648
Descriptions
本稿は、筆者が調査を行ってきたヴァヌアツ共和国・アネイチュム島の事例をもとに、彼らの伝統文化の真正性が変動する、その様態を明らかにするものである。アネイチュム語で「ネテグ(netec)」とは土地保有集団、親族集団を指し、一般的には父系の理念で成員権が決定される。またネテグは個人名の保有集団としても機能している。つまりあるネテグにはつけてもよい個人名が決められていて、それらを他のネテグの成員に命名してはいけないとされる。しかし実際には、非男系成員の編入も、個人名の他ネテグへの拡散も、相当数存在している。たしかに理念には抵触するのであるが、これまでそうした事象は、事実上「黙認」されていた。ただ近年になってこのような「黙認」の事象が引き金となり、土地問題が生じてきている。そこで彼らはこれまで「黙認」だった事象を「間違った」ことと捉え直すようになり、今後は禁止しようとしている。つまりある事象に対して「黙認」から「禁止」へと真正性が変動したのだと考えられる。このように、ある伝統的事象が「正しい」とか「間違っている」と考える際、彼らが参照にしているのが、西洋人がやってくる以前の「かつての姿」である。そこで本稿では、島民たちの考える「かつての姿」を歴史資料を用いて多面的に考察するが、彼らの認識は必ずしも「事実」ではないのかもしれない。ただ重要なことは、それが「事実」かどうかなのではなく、伝統文化をはかるときのメルクマールとして実際に機能しているという点である。つまり彼らの「歴史」はひとつのリアリティを有しているし、換言すれば、伝統文化とは彼ら自身の歴史認識を抜きに理解することができないのだと結論づける。
Subjects
カストム ( Other)
歴史 ( Other)
真正性 ( Other)
アネイチュム ( Other)
ヴァヌアツ ( Other)
Language
jpn
Resource Type journal article
Publisher
日本文化人類学会
Date of Issued 2005-06-30
Rights
日本文化人類学会
Publish Type Version of Record
Access Rights restricted access
Relation
[NCID] AA11958949
isVersionOf [NAID] http://ci.nii.ac.jp/naid/110006251157 isVersionOf