柔道の基礎的研究

島根大学教育学部紀要. 教育科学 Volume 10 Page 59-66 published_at 1976-12-25
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File
柔道の基礎的研究 3.64 MB エンバーゴ : 2001-10-07
Title
柔道の基礎的研究
Title
A Fundamental Study on the Judo
Title Transcription
ジュウドウ ノ キソテキ ケンキュウ
Creator
Fujioka Masaharu
Source Title
島根大学教育学部紀要. 教育科学
Memoirs of the Faculty of Education, Shimane University. Educational science
Volume 10
Start Page 59
End Page 66
Journal Identifire
ISSN 0287251X
Descriptions
 柔道の「柔」とは,三略の「柔能く剛を制し,弱く能く強制をす」からのものであり,具体的には,自然体の理,柔の理,崩しの理を用いて技とし,この技での攻防を「柔道」といっている。この「柔と弱」の意味は,老子の柔の徳によるもので「絶対の柔弱であり,絶対の柔弱は絶対の剛強である。全て絶対の域に至れば,柔もなく,弱もなく,剛もなく、強もなく、柔剛の相対もなくなる」という。このことから,柔道の「柔」は,柔と剛が一体となったものをいい,一般に弱(小)よく強(大)を制するもののみが柔道の技と考えられ勝ちであるが,柔剛兼ね傭えたものこそ真の技であり,真の柔道である
 柔道の技術部門は,図表1のように多方面に多種多様の技を含んでいる。この内,現在競技として使われているものは,投技,固技(禁止技を除く)であり,当身技,関節技(肘関節技のみよい)は効果が大きすぎ危険を伴うため全て禁止技とされ,形として修行するに止め(実際は忘れられている)ているため,武術的(護身)要素の少ないものとなっている。嘉納治五郎師範は,柔道の攻撃防禦に熟練することは,剣を持てば剣術に,槍を持てば槍術になると言われているように,現在使われている技の体得に於いて,常に武術的な側面を考慮し修行するならば,体(技術性の少ない)で制する柔道,腰の曲がった柔道等の批判もなく、真の柔の意味も錯覚されることもなくなる。それでは,正しい柔道技術はどうすることにより得られるか。武道の奥儀は、相手を傷つけず暴力のみ制する。柳生流の無刀取り(柔術と考えられる)は,武器を使わず基である体で制する。即ち,原点に帰ることを教えてくれる。柔道の技も剣と同様の働きをするものである。しかも,他から持って来て使うことは出来ない。全て自からの体の修練と工夫により作りだされる。従って,技の良否はその人の体の使い方にある。その基は骨格であり筋肉である。そして、その働きや動き方を左右するものは形にある。柔道の技は,このことを抜きにしては考えられない。今回は,このような観点から,技が誰れにも理解でき指導できるよう、最も基礎的な間題について述べる。

図表1 
<tt>          
             |−剣道原理−相手に触れさせないで斬突する術理
  |−柔−|      |   目付,間合,刀法…無手の当身技,関節技に生かされる
  |   |      |−自然体の理−|  
柔−|   |−柔道原理−|       | |−投 技−手技,足技,腰技
  |   |      |−柔 の 理−| |              }乱取の練習法
  |−剛−|      |       |−|−固 技−抑技,絞技,肘技
             |−崩しの 理−| |−関節技−手首技,肘技
                       |              }形の練習法
                       |−等身技−突技,打技,蹴技
</tt>
(柔道原理以下富木謙治)(固技の中に関節技の肘技を含む)
Language
jpn
Resource Type departmental bulletin paper
Publisher
島根大学教育学部
The Faculty of Education Shimane University
Date of Issued 1976-12-25
Publish Type Version of Record
Access Rights open access
Relation
[NCID] AN0010792X