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タイトルヨミ
シマネケン ニ オケル スポーツ カツドウ ノ ゲンジョウ ト カダイ
日本語以外のタイトル
The Present Situation and Problems of Sports Activities in Shimane Prefecture
ファイル
言語
日本語
著者
斎藤 重徳
内容記述(抄録等)
 現在,一般に使用されているスポーツ(sports)の語源は,イギリスで17世紀頃,disportのdiをとり去ってsportという言葉に変化したものである。disportはフランス語のdisporterまたはdepor-terを受けついだもので,ラテン語のportare(物を運ぶ)に接頭語がついたdeportare(悲しい精神状態を捨てる)に由来し,その意味は<仕事からの転換>,気晴らし,楽しみごと,遊び,ということである。このようにスポーツは人間の生理的欲求から発した一つの文化のパターンであり,よりよい人間の共同生活を営むために人間の手で形成され,身体運動に agon,play 性を兼ね備えたものである。
 わが国で現在行なわれているスポーツは,古来の武道形式から発展した伝統的スポーツと,明治以来外国から輸入された外来スポーツとに分けられるが,伝統的スポーツは現在でも文化的内容が重んじられている感があり,外来スポーツとは内容を異にしている。しかしその伝統的スポーツも国際化の傾向にあり,文化的内容もうすれつつあるのが現状であろう。武士道精神を謳歌していたわが国では,輸入スポーツはその内容を問うことなくスポーツの形式だけを取り入れ、大学運動部を中心に発展し,勝敗の結果が死を意味した武士道精神と融合し伝統的な日本人のスポーツ観すなわち,勝利至上主義として展開された。その結果としてスポーツはチャンピオンを育成するために限られた人々によって高度化路線が敷かれ,スポーツの大衆化が為されないまま競技スポーツが隆盛を呈し,政治や商業主義などの他の要素と結合し,本来の意味を失うようになった。しかし,第二次大戦後まもなく民主化の過程で労働時間が短縮され,さらに,高度経済成長は余暇を生み出し,生活水準の向上とともにスポーツの大衆化が進行し,スポーツはレジャー産業の一分野として脚光をあび,スポーツの多様化に拍車をかけられてきた。
 こういった一般的動向のなかで島根県民のスポーツ活動の現状と,スポーツヘの姿勢を明確に把握し,島根のスポーツの今後のありかたを究明しようとして実態調査を試みた。すなわち,スポーツ活動を規定する基本的条件である余暇とその利用,健康としてのスポーツとレジャーとしてのスポーツの内容,今後のスポーツ活動の要求とその方向性などを究明しながら,スポーツ政策の課題をとらえようとした。
掲載誌名
島根大学教育学部紀要. 教育科学
9
開始ページ
51
終了ページ
60
ISSN
0287251X
発行日
1975-12-25
NCID
AN0010792X
出版者
島根大学教育学部
出版者別表記
The Faculty of Education Shimane University
資料タイプ
紀要論文
部局
教育学部
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