タイトルヨミ | ショウガッコウ カテイカ ニ オケル ショウヒシャ キョウイク ノ コウソウ
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日本語以外のタイトル | The Curriculum for Consummer Education in Home Economic Subject of Elementary School
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ファイル | |
言語 |
日本語
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著者 |
多々納 道子
木村 操子
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内容記述(抄録等) | ユネスコを中心に生涯学習社会において,人間として,また地球社会の一員として学習すべきいくつかの課題が提唱されているが,消費者教育もその重要な柱の一つである。
消費者教育という言葉が,最初に教育学的な意味で使われたのは,大正時代の末期(1924年)に,アメリカの教育カリキュラム学者Henry Harapが「Consummer Education」という書物を出版してからだといわれている。当時のアメリカは,すでに大衆消費時代を迎え,技術革新,大量生産−販売システムおよびマーケティングの高度化等による経済社会の変化に伴って,消費者は人間としての生存権,生活権が侵されてきており,消費者教育の必要性が強く認識されたためである。これに対し,わが国では昭和20年代半ばにアメリカの「消費者経済学」が紹介されたのを契機として,消費者教育について論じられるようになった。本格的には,高度経済成長期に移行した昭和30年代に入ってから,まず,社会教育の分野で経済成長の担い手としての消費者を教育する必要が生じたことに始まる。その後、学校教育の分野で消費者教育の検討が行われ,第4次の学習指導要領改訂によって,正式に家庭科や社会科などに消費者教育的視点が導入されたのである。 わが国の消費者教育は,消費者保護の観点からアメリカをモデルとして発展してきた。しかし,その歴史が浅いためか,消費者教育の基本的な理念の確立が不十分であることや消費者教育の目的を実現する方法論が未発達であること等が,実効ある消費者教育の実現を妨げてきた。しかし,今回の第6次の学習指導要領改訂によって,学校における消費者教育は大きく推進されることになった。 ところで,学校教育の目的は,それぞれの教科を通して人間形成,人間開発を図ることにある。換言すれば,基本的生活習慣を身につけ,自らの意思で社会のルールを守る態度を養うことであり,市民として責任が持てる意思決定をなしうる人間を育てることにあるといえる。そのため,学校教育は児童・生徒が自ら考え,主体的に判断する能力を育てる教育へと転換することを求められているのである。 他方,消費者教育は現代の経済社会の仕組みの中で,人間として消費者がどのような状況におかれているか自覚し,その中で,一人ひとりがよしとする価値を選び,枠組みし,主体的に意思決定をなしうる人間を育てるものである。それゆえ,消費者教育は自らの日常生活関連から消費者問題を読み取り,これを生きた教科書として主体的,能動的に展開していくことが重要であり,学校教育の目的である主体的な人間形成を図ることに連関しているのである。 本研究では,消費者教育についてのこのような考え方を基底として,家庭科における消費者教育の変遷,家庭科における消費者教育の視点等を明らかにし,実践への構想を立てたので,報告する |
掲載誌名 |
島根大学教育学部紀要. 教育科学
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巻 | 26
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開始ページ | 1
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終了ページ | 14
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ISSN | 0287251X
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発行日 | 1992-12-25
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NCID | AN0010792X
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出版者 | 島根大学教育学部
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出版者別表記 | The Faculty of Education Shimane University
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資料タイプ |
紀要論文
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部局 |
教育学部
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