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タイトルヨミ
カンイ ヨウテン ケイエイ シンダン ノ イチ ホウホウ
日本語以外のタイトル
One Method of Simple Diagnosis for the Sericulture Enterprise
ファイル
言語
日本語
著者
堀田 剛吉
内容記述(抄録等)
農業経営改善のために必要な現況把握は,農学研究と共に古くから要求されていた。しかるに農業は撫育生産であるから資料蒐集に困難性があり,また農業者も他の農業技術とちがって直接増収効果に関係がうすく,しかもわが国では稲作中心に経営をおこなっておれば,比較的安定して改善の必要を認識し得なかったし,たとえ必要性を感じても小規模家族労作経営では,日々の肉体労働におわれて積極的になり難いなどの理由から,経営の経済的・総括的な方法での把握は,非農業部門に比べ著しく立遅れていた。しかるに農業が経済社会とのつながりを多くもつようになるにつれて,経営合理化への要求は一層強くなるのである。従って営農者も自己の経営に対し,良否を判断する必要性を強く悟り,経営改善への熱意を示すようになった。一方研究者も経営の診断および設計を通じて研究の具体化を企図しようとしている。繭という価格変動の大きい商品生産をおこなう養蚕経営においても,この要求は強いのであって,とくに最近のごとく生糸が人造化学繊維とのはげしい販売競争をおこなっているときにおいては,生糸の生産費中70%以上を占める繭生産費の節減が大きな課題となってきている。しかるに養蚕農業者はその必要性を感じていても簿記の年間記帳を非常にはんさに考えている関係上,多少正確度を欠くことになっても,経営改善をおこなうために現状をできるだけ簡易でかつ短期的に把握しうる方法の研究が要請されてきた。筆者は経営診断の方法が実際に利用のできることを中心目標において,更に次の諸点に注意を払いながら診断簿を作成した。すなわち①養蚕農業者ができるだけ興味を持ちうること。②平易でしかもさほど時間がかからないこと。③指導の便宜上,多くの人が一緒におこないうること,などである。なおこの診断方法の特色は,技術面の問題はできるだけ捨象し,むしろ経営経済的な診断結果より技術的な改善点の発見をおこないうるという立場をとったことである。また養蚕経営が農業経営の一部門である以上,他の経営部門との結びつきをみることはもとより重要な問題であるが,簡易化のために他部門との関係は,経営の総括的概況把握だけにとどめた。
 以上この研究は,養蚕農業者が自己の能力で経営の改善点の発見をおこないうるような簡易な方法を,経営経済学的な立場から考察したもので,補足として使用の便宜上,この方法によって診断した事例の一部を示した。
 なおこの研究上,費用の一部は文部省科学研究費(各個研究)によったもので,こゝに文部省の関係各位に謝意を表する。
掲載誌名
島根農科大学研究報告
9
開始ページ
(A-3)31-42
ISSN
05598311
発行日
1961-03-31
NCID
AN00108241
出版者
島根農科大学
出版者別表記
The Shimane Agricultural College
資料タイプ
紀要論文
部局
生物資源科学部
備考
A,Bを含む
開学十周年記念号(Commemoration Number for the 10th Anniversary)
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