タイトルヨミ | ケイエイ コウゾウ カラ ミタ ワギュウ シヨウ ノ モンダイテン ト テンカイ ジョウケン シマネケン ミトヤチョウ ノ ジレイ ブンセキ
|
日本語以外のタイトル | A Study on the Development Conditions and Ploblems of Beef Cattle Raising by Farming Structure : A Case Study in MITOYA of SHIMANE Prefecture
|
ファイル | |
言語 |
日本語
|
著者 |
濱田 年騏
|
内容記述(抄録等) | 今からほぼ1O年前に公表された農政審議会の「農産物の需要と生産の長期見通し」(1980年)によると,牛肉の需要は78年の56万トンから90年には85~92万トンヘの増加が見込まれ,そのうち国内生産量は41万トンから63万トンヘと約50%増,和牛等の肉専用種は1.7倍,乳用種は2.6倍になるであろうと予測された.また,農業白書(昭和60年度)では,牛肉の消費支出弾力性は他の肉類に比べて高い水準にあり,平成元年度の農業白書でも牛肉の消費量は61年度から急増し,現在でも引き続き増加基調にあることが指摘されている.
このように,肉用牛はわが国農産物のなかでは生産量の拡大が期待されている数少ない作目であるが,肉用牛の生産拡大の基礎となる繁殖牛の頭数(肉用牛めす2歳以上)は,1956年の163万頭から急減し65年にはついに100万頭を割り,73年の58万頭を底にやっと下げ止まった.それ以降の動向は前述のような需要増大から飼養頭数の大幅増加が期待され,85年は66万頭と若干増加傾向を見せた.しかし,89年は66万頭と近年は停滞的に推移している.また,肉用牛飼養の零細性がいわれて久しいが依然として規模拡大のテンポは極めて鈍い.例えぱ,肉用牛飼養1戸当り頭数は,56年の1.2頭から65年の1.3頭,75年の3.9頭,85年の8.7頭,そして89年の10.8頭へととくに75年代以降の増加が目覚ましい.しかし,この中身は肥育牛とくに乳雄牛肥育の規模拡大によるもので,子取り用めす牛の1戸当り飼養頭数は,65年の1.2頭から75年の2.O頭,85年の2.9頭へと20年問で2.4倍になりはしたものの,依然として零細飼養の域を出ていないのである.そして,1・2頭飼養農家が61.9%(86年「畜産統計」)と子取り用めす牛飼養農家の過半数を大幅に上回っているなど零細性は克服出来ていない. 本稿は,第4,5回の全国和牛共進会でそれぞれ優秀な成績を得,また古くからの和牛産地でもある島根県の和牛飼養を事例にとる.島根県の和牛飼養は優良子牛生産地帯として全国的に注目されながらも,詳しくは後述するが,飼養農家数,頭数の減少と飼養規模の零細性に悩まされ,このまま推移すれぱ和牛産地としての存続は非常に厳しい状況にある.こうした状況を克服していくためには和牛飼養の経営構造を正確に把らえ直す作業から始めなけれぱならない.そのなかから和牛飼養の停滞要因ないし衰退要因の基本的問題点を摘出することができよう.そこで,本稿はまず和牛飼養の経営構造の把握を行ない,その問題点を摘出し,和牛飼養の再構築について考察を試みることを課題とするものである.ここでの分析は1つの町の全和牛飼養農家を対象に,和牛飼養農家の全体構造をみるもので,とくに現在飼養戸数の急減が大きな問題となっている1・2頭飼養農家に限定した考察は別稿で行ない,必要に応じて注書きする. なお,分析の対象地は,島根県のなかでも最も和牛飼養が盛んな雲南三郡と,雲南三郡なかで各指標(兼業農家の急増,飼養農家数の急減,子牛価格が高く優良子牛生産が積極的)が最も高く,島根和牛が抱える諸問題を最も明確に示すであろう三刀屋町をとる. |
掲載誌名 |
島根大学農学部研究報告
|
巻 | 24
|
開始ページ | 91
|
終了ページ | 100
|
ISSN | 0370940X
|
発行日 | 1990-12-21
|
NCID | AN00108015
|
出版者 | 島根大学農学部
|
出版者別表記 | Shimane University, Faculty of Agriculture
|
資料タイプ |
紀要論文
|
部局 |
生物資源科学部
|
他の一覧 |