島根大学理学部紀要

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島根大学理学部紀要 13
1979-12-20 発行

出雲海岸平野の第四系

Quaternary System in the Izumo Coastal Plain
大西 郁夫
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内容記述(抄録等)
 山陰地方の中央部には,中海・宍道湖・簸川平野とつらなる海岸平野が発達し,出雲海岸平野と称されている。この平野周辺の第四系の研究は,冨田・酒井(1937)の“乃木層”の命名にはじまる。しかし,1960年代までは,第三系研究の際に付随的に記載されるにすぎなかった。第四系を主題とした研究は,1962年の山陰第四紀研究グループの帯成と共に始められ,同グループ(1969)により概括的にまとめられた。
 1970年代に入ると,松井・井上(1971)による三瓶山の火山層序や,水野ほか(1972)による湖底調査のまとめ,大西(1974.1977)による植物・花粉化石の研究など,この地域の第四系はさらに精細に解明されてきた。
 また,1974年~1976年には,島根大学文理学部地学教室2年生の“地質調査実習I”がこの地域の第四系を対象にして実施され,乃木層の細分や大庭層の再発見など多くの新知見を得た。
 筆者は,上記の成果をふまえて,この地域の第四系の層序あ再検討を進めてきた。ここにその成果を報告する。
 この研究を進める中で,野外調査を共にされ,また種々の資料をお教えいただいた島根大学 大久保雅弘教授,山内靖喜博士ならびに地学科卒業生の諸氏に深く感謝します。