本稿は、若槻礼次郎の漢文・漢詩の師にして、彼の後援会・克堂会の会長でもあった渡部寛一郎に関する文書群「渡部寛一郎関係文書」(松江市新雑賀町・原洋二氏所蔵)の調査・研究を基礎として、近代山陰地域の漢詩文化と政党政治の関係を、日本近現代史・中国文学両分野の共同研究によって究明しようとするものであるこの研究は、島根大学法文学部山陰研究センターの山陰研究プロジェクト「近代山陰の政治と文化-『渡部寛一郎文書』『若槻礼次郎関係文書』に見る漢詩と政党政治の関係分析を通して-」(課題番号1401、研究期間2014~2016)の最初の成果として発表するものである。そのため、渡部寛一郎および渡部寛一郎と若槻礼次郎の関係、近代山陰の漢詩文化についての基礎的事項を「解説」で示した上で、若槻礼次郎が渡部寛一郎に宛てて出した書簡の目録を掲載し、併せてその概要を「解説」で述べた。