島根大学文理学部紀要. 文学科編

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島根大学文理学部紀要. 文学科編 5
1972-03-20 発行

広域行政の視点について

池田 善昭
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内容記述(抄録等)
廃藩置県後、あるていどの区域改編を伴ないながら、明治二〇年代にほぼ画定をみる都道府県の区域は、旧国郡域を基本的には遵守しつつ、わが国の地方行政の地域的基礎を与えてきた。今日、経済の高度成長下の地域開発政策の進行のもとで、とくに、大都市圏周辺に、府県域再検討の心要が説かれ、昭和四五年四月八日には、日本商工会議所の永野重雄会頭の道州制に関する、いわゆる永野メモが発表されるなど、阪奈和を主とする関西財界の動きが目立つようになった。同年十月、奈良において日本地理学会・人文地理学会合同大会が開かれ、地理学会としては始めての政治地理的テーマのシンポジウムが開催され、「行政区域の再編成と地理学的地域」として六名の発表とそれをめぐる討議が実施された。ムーディー、プレスコットなど、いわゆる国内政治地理の問題をとりあげる傾向が、わが国にもようやく歩みをみせはじめたことの証左といえようが、このなかで、今日の体制下での、いわゆる広域行政がもつ多くの欠陥を指摘した一人として、シンポジウムで充分に提示しえなかった諸点を述べ、補足とすることとした。