本研究では,島根県産ハマボウフウ施設栽培品における生産での地熱活用を見据え,栽培温度の影響を明らかにするため,月別のハウス内平均温度,生育状態,色調,総ポリフェノール含量,DPPH 値,H-ORAC値およびアントシアニン含量を測定した.その結果,ハウス内温度については,13.2 ℃(1 月)~ 29.5 ℃(7月)と変動幅が大きかった.しかし,各分析項目については,月別で差は生じていたものの,ハウス内温度ほどの変動幅ではなかった.これは,土壌温度管理や光照射技術によって,生育状態,品質,抗酸化成分が安定したことによると考えられた.本研究の結果により,今後,光照射技術と地熱を活用したハウス内および土壌温度管理によって,さらに安定した品質のハマボウフウ栽培が可能であることが示唆された.