島根大学教育学部紀要

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島根大学教育学部紀要 48
2014-12-25 発行

モデルハウス・オープンハウスにみる畳と畳空間の現状 : 松江市・出雲市の場合

Actual conditions of Tatami and Tatami-space of modelhouses and openhouses : the case of Matsue-city and Izumo-city
肥後 久美子
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内容記述(抄録等)
(1)畳空間の位置は、独立して設けられているものが約で6割であり、リビングの続き間が約3割であった。リビングの一角にコーナーとして位置づけられているものは少なかった。畳空間の広さは6畳が中心だった。
(2)畳の形状は一畳畳が60%、半畳畳が40%であり、半畳畳が畳の形状として定着しつつあることが伺えた。
(3) 畳表の素材は、伝統的素材であるいぐさが半数以上を占めており、新素材の畳表は約4 割であった。新素材のうちの7割が和紙であり、畳表の素材として、今後、和紙が使用されるケースが増えるのではないかと予想される。
(4)座敷飾りは約半数に設置されていた。しかし、その種類は床の間のみのものが大半を占めており、床脇や書院は非常に少なく、座敷飾りが設けられなくなっている傾向にあると言える。また、床の間のデザインを見ても、伝統的で格式のあるものでなく、質素な大きさや形であったり、洋風のデザインを取り入れていたりと、住宅の座敷飾りのあり方が変化してきていると考えられる。
(5)畳空間のデザインは、質素な和風空間が半数を占めており、次いで洋室の要素を取り入れた空間であった。畳空間のデザインが変化してきていることが伺えた。また、格式のある座敷飾りを持つ空間の畳が半畳畳であったり、一畳畳でも畳縁が無地であったりと、元々の書院造に込められたものが失われてきていると言える。
(6)今後は、畳空間がより洋風化し、畳表等の素材も新素材の導入がより進むと考えられる。一方で、書院造に込められた畳空間の様式は薄れていき、座敷飾りを設置する場合も、正式な様式を崩した座敷飾りであったり、洋風化した座敷飾りを設置する空間も多くなっていくと考えられる。
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