教員養成学部の「言語コミュニケーション」を中核とする専攻の中で「日本古典文学史」の授業を実施する場合, 「言語」や「コミュニケーション」と乖離する傾向がある。また, 近年, 「日本古典文学史」授業の成績が著しく下降して,不合格者が多出している。日本古典文学教育をめぐって起こっている, この二つのまったく異質な課題に対処する方法として, 「コミュニケーション」の多層性の活用があげられる。授業内容のコミュニケーション的要素と授業方法におけるコミュニケーション活用とが一体となって二つの課題を解決に導くと考えられるのである。実際の授業と試験による成績評価の実績と授業改善の経緯とその成否に基づいて上の仮説を提示するに至った。