小論では、まずⅠにおいて、私の講演「日本の神々:出雲地方の神話と祭礼」を再現し、「出雲神話」の概略を辿った上で、出雲地方の代表的な宗教民俗として、出雲大社の「神在祭」、美保神社の「青柴垣神事」、島根半島の小正月行事、松江市近郊の荒神祭祀を取り上げ、日本の神々に対する一般的な感覚を粗描した。これを受けてⅡにおいては、このような宗教民俗における伝統の継承という問題と、さらにこの講演がフランスの聴衆を対象とするものであることから、異文化間での宗教民俗の伝達という問題を取り上げ、コミュニケーションという観点から考察した。