島根大学教育学部紀要. 教育科学

ダウンロード数 : ?
島根大学教育学部紀要. 教育科学 9
1975-12-25 発行

技術科の教授=学習内容に関する研究(V) : 回転モーメント(トルク)の技術について

Studies on Teaching-Learning Contents in Technological Education(V) : On Teaching Materials of Turning Moment (Torque)
大國 博昭
中山 義弘
ファイル
内容記述(抄録等)
 ここに取り上げている題材は,現行の「技術・家庭科,男子用」(以下「技術科」という)の中では,回転モーメント,あるいはトルク(回転カ)の教材としての,いわゆる単元項目の扱いはなされていない。しかし,これに関連する学習事項は,既に報告されてきた,『ねじとその関連教材について』や『機構の教材について』の中にみられる,「スパナやドライバーによるネジのしめつけトルクやねじりモーメント」および「回転力の伝達機構」あるいはまた,「自転車の伝動のしくみ」等にみることが出来る。
 元来,機械の教材には,回転比と直径(半径)比,あるいは歯数比などの,速度の変換に関連して,駆動力比を扱う内容が多い。それだけに,ここでは,同一軸のまわりのトルク(回転力)の大きさと加える力(あるいは加わる力)の大きさとの関係あるいは,他の2軸間での回転力比(駆動力比)と加える力(あるいは加わる力)との関係などについて,理論的な混乱を与えぬように,理解させておく必要がある。そのためには,工具や機械の基本的な機構についての原理や法則性争基礎事項を,生徒の主体的学習活動と調和させながら,理論的に,実験的に学習させ,機構の本質を明確に理解させることが必要である。
 本研究は,『技術科の教授=学習内容に関する研究』の一環である。先の報告,『機構の教材について』で,機構学習での教材内容の構造的な再構成が試みられたのであるが。ここでは,改めて,回転モーメント(トルク)の教材として再編成された部分の,学習内容と指導方法について報告する。
 さらには,教育内容の高度化と学力としての確実な定着を意図した教授内容と指導方法の追究を,実験授業によって実験実証的に試みようとするものである。
 一つの実験授業成績を得たので,資料をあげながら,概要について報告する。