最近,教育現場において,交通安全教育の重要性と必要性が認識され,教育指導と実践に関心が払われていることはよろこばしい現象である。然しながら,心身両面にわたって,未完成であり,成長発達の途次にある幼児・児童・生徒を対象とする指導には,彼らの精神発達の段階,心的特徴,readiness を考慮することが重要である。
本論では,このような立場から,1.幼児・児童期の心理的特徴 2.とび出し事故と道路の横断 3.自転車ののり方の指導 4.事故多発児と制御能力 5.高校生の心理的特徴と安全教育 6.女子青年の性的特徴と安全指導の面からとくに,教育心理学的立場に立った指導と研究が必要であることを強調し,この分野における専門的な研究と指導者の養成の重要性をのべた。