近年のインターネットの急速な広がりには驚嘆すべきものがある。特に、世界中に存在する無数のWorld Wide Web(WWW)サイトから公開されているホームページは、時々刻々と多様さを増している。そのホームページ作成で必要となるのは、Hyper Text Markup Language(HTML)と呼ばれる言語であるが、近年、これに加えてさらにその機能を強化できるJavaおよびJavaScriptと呼ばれるある種のプログラミング言語が開発された。これらを用いると、ホームページを動的かつよりInteractiveなものにすることが可能である。そのため、これら言語を用いてホームページ上に教材を作成することにより、ネットワークを介しての仮想教室の試みが、様々な教育機関で情報教育の一環として行われている。そこで、我々はそのような方向に向けた情報教育の在り方に着目し、さらにその中に科学技術教育を融合させることを目標に研究を精カ的に進めている。特に近年、我々はJavaScript言語の学習容易さと高機能さに着目し、それを用いてモンテカルロ法に基づくシミュレーション教材の開発を試みてきた。モンテカルロ法とは、従来から非常に高度なシミュレーション技法として知られており、科学技術シミュレーション分野において必要不可欠であるが、その計算処理速度等の間題から、ホームページ上で科学技術教材としては不向きであると考えられなくもなかった。しかし、本研究において、そのシミュレーションプログラムが非常に簡潔な構造で作成され、科学技術シミュレーション教材としての有用性を確認できたので、その結果およびその将来への展望についてここに報告する。