島根大学教育学部紀要. 教育科学

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島根大学教育学部紀要. 教育科学 29
1995-12 発行

中学校家庭科における環境教育の授業実践 : 家庭生活と地域の環境

A Practical Study on Environmental Education in Junior High School Home Economics Subject : Our Home Lives and Environment in the Community
多々納 道子
久我 俊子
西野 祥子
三島 香子
ファイル
内容記述(抄録等)
1.はじめに
 地球環境の持続的発展を求めるには,環境悪化や環境汚染を引き起こす様々な問題を解決することが急務である今日、生活環境を対象とする家庭科において生涯学習の一環として環境教育をいかに推進するかは,重要な課題である。著者らはこれまで家庭科において環境教育を積極的に進めるため,小・中・高等学校の各段階を通して授業研究を実施するなど,そのあり方を検討してきている。
 水の都といわれてきた松江市においても近年,堀川や宍道湖・中海の水質汚濁が深刻な問題になっており1の,中学生に対しても家庭生活が水環境とどのようにかかわっているかを考えさせ,環境保全のために自分にできることを具体的に探らせ,それを実践する態度を養うことは重要である。
 そこで,本報では,中学校家庭科において,家庭生活と密接な関わりのある水環境という地域の生活環境問題を主題として,第1学年の家庭生活領域で授業研究を行ったので,その結果を報告する。具体的には,環境問題と既存の学習内容とをどの様に結合させ,展開すればよいのかという観点から教材開発を目的として,家庭生活領域に「家庭生活と地域の環境」という小単元を設け,地域の水環境問題と家庭における食生活の仕事とを関連させ,授業研究を行ったものである。
 指導にあたっては,家庭生活と生活環境問題とがどう関わっているのかを理解し,具体的な環境保全の方法を考えさせることに留意している。そして,家庭から排出されるごみや生活排水対策だけでなく,消費生活活動全般に目を向けさせ,水,電気やガスなどの有限な地球資源を有効に使用することが重要であることに気づかせ,環境保全のために,生活の中で具体的に実践していけるよう,行動的理解にまで高める方法として環境新聞作りを行うこととする。