島根大学教育学部紀要. 教育科学

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島根大学教育学部紀要. 教育科学 22 2
1988-12-26 発行

バスケットボールの学習指導に関する研究 : フリースローの学習による動作の変化

A study on Teaching Methods in Basketball : A Biomechanical Analysis of the Motion in Basketball Free Throw
植野 淳一
渡辺 悦男
大谷 和壽
斎藤 重徳
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内容記述(抄録等)
 体育やスポーツにおいて,学習者や競技者が技術を習得してゆく過程の中に,指導者の助言が重要な役割を果たしていることは周知の通りである。しかしながら,バスケットボールは,学校体育の主要な教材としてあげられているにもかかわらず,ルールが複雑な上,技術の系統性も多岐にわたっており,指導者が何をどのようにどれくらい教えればよいか,苦慮しているものと推察される。特に,初心者に必要とされる指導内容や方法を吟味することが難しく,ゲーム中心の授業や基礎体力を養成するような反復練習だけで終わることも数多いと考えられる。
 指導者の助言は,成熟や学習による動作様式そのものの質的評価に迫るものでなければならないし,よい動作の習得に役立つ示唆をもたらすものでなければならない。また,動作の成熟や習熟のプロセスを明確にすると同時に,その成果から発達段階に応じた動作の改善や,習得のための有効な手がかりを引き出すことが,その役割であるとも言われている。
 よりよい動きにするためには,四肢の動作に対しての具体的指示が重要であるが,そのためにも,指導者の経験的・主観的評価であると考えられる動作の「よい」「悪い」の判断基準をバイオメカニクス的手法で,より明確にし,客観的なデータを収集することによって,その知見を動きの矯正法や指導法に還元することができるのではないかと考えられる。
 先行研究では,指導者が,バスケットボールの初心者に対して的確な助言や指導ができるように,その基礎的資料を収集することを目的とし,中でも初心者が,最も興味を示すと思われるシュートに関して,熟練者との動作を比較することによっていくつかの結果を見い出した。その結果から,次のような3つの指導上のポイントとしてまとめた。
 1.肘角度を小さく保ちながら,ボールを額の上方で構え,ゴールをよく見る。
 2.肘を中心として,手首,指先の順で鞭を打つように上肢を押し出していく。
 3.シュート後,手首をしっかり折る。
 本研究では,この指導上のポイントを踏まえながら,初心者2名について,フリースローの学習を行わせたが,助言・指導のない2名の初心者とのシュート動作の比較や,学習期間中のパフォーマンスの変化などを通して,上記の指導上のポイントが適切であるかどうかを検証することを目的とした。