数学教育の目標は,「数学的考え方」の育成であるといわれている。この目標を達成するためには,「自己をみつめながら学び続ける意欲(やる気)は必要不可欠なものである。そこで,筆者は,意欲(やる気)とは何か,それはどんな条件下で発生するか,それは数学学習でどんな効果や役割を与えるかといった面での理論的ならびに実際的・実験的アプローチを教育心理学における学習意欲に関する種々の先行研究の助けを借りて試みてきている。
「学習意欲(やる気)」は,心理学では,「達成動機づけ」として扱われ,達成動機づけに関する研究は,「一つはBerlyne(1965)の好奇心の概念を中心とした認知的動機づけの研究であり,二つはIowaの学派による不安の研究(Taylor(19560)から派生したYale学派によるテスト不安(Sarason,1960))であり,三つは,HarvardとMichiganを中心とする達成動機(Atkinson,(1964),McClelland(1961))である。」の3つに分けられると,下山(1981)は述べている。
本研究は,「達成動機づけ」の中の一分野である「達成動機」について取り扱う。