島根大学教育学部紀要. 教育科学

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島根大学教育学部紀要. 教育科学 20
1986-12-25 発行

社会科における「環境・資源」教育の実験的研究(III) : 「水」教材の場合

An Experimental Study on the Education of 'Environment and Resources' in Social Studies(III) : On the case of Teaching on 'Water'
有馬 毅一郎
伊藤 博敏
木村 進
山崎 裕二
ファイル
内容記述(抄録等)
 地球的・全人類的な課題として,環境問題や資源・エネルギー問題が重視され,社会科においても現行学習指導要領において「環境・資源」に関わる内容が多く盛り込まれている。しかし,現代の豊かな物資文明に囲まれた児童・生徒達に「環境・資源」教育は有効に機能しているのであろうか。自然や物をそまつに扱う現代の子どもたちを嘆く声を多く耳にするが,社会科においても「環境・資源」教育の再検討が問われているのではないであろうか。
 我々研究グループは昭和57年以来,特に「資源・エネルギー」学習に重点を置いて,小・中・高校一貫の社会科「環境・資源」教育のあり方を追究してきた。既に,これまでの一連の研究の中で,「資源・エネルギー」学習を「食糧」「エネルギー」「原料」「水」の4領域と「利用状況(重要性・有用性)」「種類と量(有限性・希少性)」「分布(偏在性)」「利用の変化(歴史性)」「国際関係と貿易(国際性)」「開発と有効利用(発展性)」「調和と共存(課題性)」「人間にとっての資源(人間性・志向性)」という認識の8層から成るマトリクス構造に位置づけ,学習内容の一貫性を確立することを試みている。また授業の構成に関して,児童・生徒の「資源・エネルギー」に関する見方・考え方にインパクトを与え,認識の質的深化を図るために,児童・生徒の価値的な知識の見直しを迫る授業構成の必要性を明らかにしてきた。
 本稿は,これら一連の研究の一環として,「水資源」に関わる教材を事例に行った3つの実験授業の概要を記し,社会科における「水資源」教育の一貫性について考察を加えるものである。
 実施した実験授業は次の通りである。
 ・実施時期 昭和60年8月20日(水)
 ・実施学校 島根大学教育学部附属小学校(2年2組 4年2組)同附属中学校(1年4組)
 ・実験授業の内容および授業者
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実験授業A|「くらしと水」小学2年<伊藤博敏>
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実験授業B|「地域の水」 小学4年<木村 進>
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実験授業C|「人間と水」 中学1年<山崎裕二>
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 なお,これらの授業の事前研究,授業構成,観察・記録およびその整理にあたっては,本稿執筆者有馬,森本,伊藤,木村,山崎のほか,附属小学校社会科担当赤木直行教諭,附属中学校同錦織馨教諭,岩田靖教諭が共同研究者として参加した。