子どもの発達段階に応じた整数の具体的モデルの選び方,学習を確かなものにするための整数の具体的モデルを使った活動や支援のあり方,数概念の形成を図る整数の具体的モデルを使った補充的な指導方法の有効性,整数の具体的モデルの歴史について調査,考察を行った。具体物や教具を用いての学習は興味・関心を引きやすく,理解度を高めるものである。しかし,作業活動は子ども達の気分を高揚させる,操作の時間がかかる,教師による確認に時間がかかる,など留意点もある。道具の準備・片付け等での指示の出し方,声の大きさや活動を制御する声かけ,作業時間と内容による適切さを考えての教具選び・その作業内容,隣の席の子と確認し合い学び合う関係づくり等の教師の指導が必要である。教師による達成度の確認,思考を促す声がけも適宜行わなければならない。数詞と具体物を対応させる練習によって,数詞・数字・具体物の三項関係をつかませることで,数詞を順に唱えるだけの段階から,集合数を正しく言える,位を理解する,5 や10 などの数のまとまりを使って考えられる,計算できるといった,確かな理解へと進めていけるだろう。