本研究の目的は,学校現場のストレッサーに対して,教師の個人内要因や環境要因が,メンタルヘルスの向上にどのように機能しているのかを探ることである。個人内要因として,教育への信念,自尊感情,コーピング,レジリエンス,また環境要因として学校での人間関係や職場組織の特性,そして家族のサポートを取り上げることとした。小・中学校教師を対象に質問紙調査を実施し, 172部の有効回答を分析の対象とした。調査結果から具体的な対処方法として,職員間の人間関係ストレッサーに対しては,肯定的な末来を期待して努力しようとすることや学校組織の協力体制を見直すことが,学校業務ストレッサーに対しては他者への相談行動が,メンタルヘルスの向上に結びつくという結果が得られた。ストレッサーの高い学校現揚においても,自己受容を生起する職場環境であれは個人のレジリエンスや自尊感情が高まり,それらのことがメンタルヘルスの向上につながるということ示唆された。