島根大学論集. 教育学関係

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島根大学論集. 教育学関係 5
1955-02-21 発行

教師の新教育理念に対する態度について : 差異的研究(その一)

Research on the Attitudes of the Teachers towards the New Educational Ideologies : A Differential Study (No.1)
野村 昭
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内容記述(抄録等)
いわゆる「新教育」が日本に施行されて,既に,約十年の歳月を閲する。その間,制度上では,一応新しい教育体制が串来上りつつあるも,「新教育」に対する教師の態度には,必すしも一様でないものがある。杜絶えていた諸外国の教育理念が、一定の過程を踏ますに,一時にどつと紹介されたり、夫等と在来の教育勅語に基く教育の在り方との間に深溝を生じ、飛躍を求められたりした為に生じた理念の混乱錯綜や,現実の教育制度が,十全に生かされず、加え、新しい教育体制に順応する為の様々の仕事、対児童との関係,対父兄,対地域杜会の問題等、更には之等理念と現状との間の齟齬等々,「新教育」に対する意見は輻輳している。
 我々はごこに,「新教育」に対する教師の態度が奈辺に存在するかを方向づけ、位置づけて見ようと思う。これは教師の意識構造の在り方(1)や,教師のパーソナリテイ(2)との関連に於て論じられ,個々の教師についての考察を加えるべきであろうが,ここでは,一般に教師が
 1)新教育理念・目標をどの様なものと考え,それを把握しているか。
 2)それでは現在の教育の実情はどうか。そして,それと奉ずる理念・目標との間には、如何なる関連性が存在するか。その   矛盾や齟齬はどうか。
 3)それ等に対して,教師は,どんな意見を持ち、どうしようとしているか。
の三点について,与えられた項目を態度尺度法(3)(4)(5)(6)に依て,評価せしめ、その評価値を定位させ,各地域,性別、年令層毎に尺度値の比較考究(7)に依て,殊に夫等の態度の差異性を見て行こうとした。
 教育制度は,その目標、理念に応じて基準化され、方向づけられるものであるが,仝時にそれは,固定化され,不変的な姿に於て捉えらるべきものではなく,その社会的背景,歴史的地理的条件に依る特殊性を認めるべきであろう(8)。かかる特殊性、他との差異性を求めるのが本研究の主目的である。