地元島根県に対する本学教育学部の教員供給の実態を、学生の教員免許取得状況との関わりから検証した。主な知見は次のとおりである。
(1)教員採用者数、輩出率、占有率だけでは、教員供給の実態は正しく把握されない。①全体の受験者数の増加、②教員需要の低下という要素を考慮した場合、本学の現役卒業者は、県全体の合格率と遜色ない競争力を有していた。しかし、近年、その競争力が低下している。
(2)本学部からの現役受験者数自体が著しく減少している。しかも、この減少が、合格率の上昇に結びついていない。
(3)本学部の教員供給は、過卒者に大きく依存する傾向にあり、島根県教員採用においては、例年、 3割のシェアを占めている。
(4)学生の教員免許取得動向が、単免取得もしくは4~5枚免許取得に二極分化する傾向が見られる。特に、学校教育教員養成課程設置後の単免取得志向の増加が著しい。
(5)本学部卒採用者の教員免許取得状況は、明らかに複数免許取得(異教科異校種免許)である。在学生に対して、将来の需要を見越した適切な支援が求められる。